
すばらしい秋晴れの午後、狩留家駅で憩うキハ47。狩留家では折り返し列車の設定があるので、時々列車がのんびりと発車時刻を待っている。撮影日11月10日は雲一つないきれいな青空が広がっていた。あまりに高い空の下で、後方に見える白木山がいつもより低く見えた。

狩留家の駅舎。駅前の細道は、かつては広島と三次を結ぶ県道であったが、現在はバイパスが作られていて車通りは少ない。駅前には古い木造家屋が並び、その中にぽつぽつと新しい家も混ざっている。村落から郊外型住宅地への変容の第一歩を踏み出しているのかも知れない。

駅舎内。改札口を中心に。左奥がホーム。左手には乗車駅証明書発行装置が見える。

狩留家にはなんとディスカバージャパン当時のスタンプ台が残っていた。現在ではスタンプの代わりに花瓶が置いてある。スタンプそのものはは簡易委託駅なので改札口の中に収められており、駅務を委託されている横田さんにお願いすれば出してくれる。

駅舎の片隅には本棚があり、自由に読むことが出来る。ジャンルは歴史小説となぜか教育書に偏っている。今後は安芸矢口企画も微力ながら支援させていただくつもり。

改札口の内部。直営駅から簡易委託駅になった際に備品はほとんど撤去されたんだとか。現在は短距離の乗車券(非コンピュータの軟券)のみ販売しているそうだ。壁には昭和52年に深川で発生した芸備線事故の写真が掲げてある。

改札口内部で発見された「わくわく芸備線」誌と改札鋏。一体何年前の鋏であろうか。JR−Wで鋏を使わなくなって久しい。

狩留家駅の使われなくなった駅員宿泊施設を、安佐北区社会福祉協議会が借り、これを狩留家の社協が使っている。地域の高齢者のサロンとして大繁盛しており、駅に設置されているという珍しさから、近県からの見学者が後を絶たないと言う。

「夢かるが」の内部。現在は和室と洋室1間ずつが使用できる。西と南から陽が入り、ぽかぽかと心地よい空間になっている。高齢者たちはここで会話やゲームなどで楽しんでいるとのこと。なお、内装の改装はほとんど地元の人たちがボランティアで行ったそうで、外壁の修理や看板製作も全て地元の人々の手によるものだ。
「夢かるが」の実践は、これからの高齢化社会を迎えるに当たっての重要な実験である。高齢者のサロン空間作りという意義、利用されなくなった鉄道施設の再利用という意義、地域における駅の中枢性回復という意義、どれをとっても価値のあることではなかろうか。